作者別: miyazaki

シングル女性に必要なお金に関する3つの力

シングル女性が知っておくべきお金に関する3つの力とは?


さて、ここまで読んで、あなたは安心できた、だろうか。

「わかりました。年金がもらえるギリギリの年齢まで、働けるだけ働きますよ。ちょっとくらい嫌なことがあっても、安易に辞めません。貯蓄も、もう少し頑張りましょう…。でも、結局、私はいくら貯めればいいわけ?」

こう考えた人も多いのではないだろうか。

老後、貯金がいくらあれば安心していいのか。

具体的な金額をズパリ言い切る答えは、大変申し訳ないけれど、実は、ない。

ファイナンシャルプランナーの深田晶恵さんは「その答えは、老後、どんなレベルの生活をしたいのかによって、まったく違ってくる。だから、安易に具体的な目標額を示すことはできません」ときっぱり。

現役時代に貯められる金額も、年収300万円の派遣社員と年収1000万円の管理職の正社員とでは全然違う。

「老後は3000万円あればいい」「いや、5000万円」「いやいや、老後生活にかかる総費用は1億円を超える」。

マネーに関する雑誌などで、こんな数字が踊っている。

でも、老後、安心するために必要な金額が3000万円なのか、はたまた1億円なのかは、本当は個人個人で異なり、だれもが共通して安心できる金額というものはないはずだ。

ここで提案したい。

もう金額に振り回されるのはやめて欲しい。

「大切なのは、自分サイズの暮らしとはどんなものかを考えること」と深田さんは助言する。

自分は今、毎月いくらくらい支出しているのか。

その支出で維持している生活レベルは、ものすごく不満で我慢ばかりしている状態なのかどうかを考えてみて、その上で目標を定めることが大切だ。

深田さんは「シングル女性には3つの力が必要です」と言う。

1つは「貯める力」。

家計管理能力のこと。

無駄遣いをせず、かといって、切り詰めて窮屈な生活を耐えるのでもなく、無理ないペースで貯蓄を増やす計画ができる力だ。

2つ目は「増やす力」。

これは、資産運用のこと。

投資信託や債券など、元本割れリスクがあるけれど利回りが比較的大きな金融商品を、上手に選んで使いこなす力があるといい。

3つ目は「制度を知る力」だ。

年金や社会保障制度を知り、使える制度は使いこなす。

万一の事態に備える公的医療保険制度や、老後の生活資金の柱となる公的年金制度の知識は不可欠。

「シングル女性は、一生懸命働いて、老後の生活資金を貯めなくてはならないと考えている。間違っていないが、それではとても疲れるし、不安を増幅させる。使える制度はとことん使いたい」と、深田さんは呼びかける。

将来のことは、みんな不安だ。

深田さんは言う。

「ファイナンシヤルプランナーに相談に来る人の多くは、この先の人生がとにかく不安で心配で仕方がない状態。でも、何が不安なのか1つ1つ整理して聞いていくと、こんがらがっていた不安がほぐれて、自分なりの解決策が見えてくる」。

老後までに貯めなければならない金額に振り因されているうちは、不安は消えない。

何歳まで働くつもりか?

今、いくら金融資産を持っているか?

今の生活、すなわち自分サイズの暮らしは、どんな感じか?

今の暮らしをリタイア後も続けたいか?

それともサイズダウンしていいか?

目指す自分サイズの老後を生きるために、公的年金ではいくらくらい足りないのか?

こうしたことを考えるのは、自分自身の価値観を洗い直すことにほかならない。

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年金はいつからいくらもらえるのか

公的年金はいつからもらえるのだろうか?


まず、働いたことがない人や、ずっと自営業などでどこかに勤めた経験がない人は、今の現役世代なら原則、だれもが65歳から年金をもらい始める。

一方、会社勤めで厚生年金に加入して働いている人が年金をもらい始める年齢は、生まれた年によって違う

働く女性が受け取る年金額はどのくらいなのだろう。

参考までに、今の高齢者がいくら年金をもらっているか調べてみた。

2007年度の「公的年金財政状況報告」によると、厚生年金をもらっている人の平均的な年金月額は男性の場合、約18万2000円で、女性は10万6000円だ。

女性の平均的な厚生年金受給額は男性の6割弱と、かなり少ない。

「えっ! やっぱり、年金だけじゃ、ぜんぜん暮らせないわ」と思った人もいるだろう。

ただ、注意したいのは、女性が本格的に長期間働くようになり、男性と同じ仕事なら同じ水準の給料をもらうのが一般的になったのは、男女雇用機会均等法が施行された1986年より後だということだ。

つまり、今、働いている現役世代のシングル女性が年金を受け取り始めるころには、平均的な年金額はもっと高くなっている可能性がある。

ためしに、社会保険労務士の安田洋子さんに、モデルケースで年金額を試算してもらった。

参考にしたのは厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」。

厚生年金はざっくり言うと、働いた期間の給料の平均額をもとに計算する仕組みだ。

現在の企業で働く20歳から59歳までの女性が受け取る給料を平均すると、毎月の給料が約26万円、ボーナスは年間で約59万円になる。

20代など若い人は「私の給料はそんなに高くない」と感じるかもしれないが、だいたいにおいて給料は若いときに安く、40代ごろに高くなるようになっている。

年金の計算に使う給料の平均額は退職時までの平均なので、若い世代より少し高いのが普通だ。

この数字をもとに計算すると「大学卒業後すぐ就職して60歳で退職すると、65歳以降に受け取る年金額は150万円、月額に直すと約12万5000円」と安田さんは言う。

従業員1000人以上の大企業だと、一般に給料はもう少し高いので、20歳から59歳までの女性の平均的な給料は月約28万円、ボーナスは年約82万円だ。

「この場合、年金額は168万円、月額に直すと14万円」(安田さん)だ。

安田さんは「シングル女性の老後資金の柱となるのはやはり公的年金。長期的に制度がどうなるかは不透明な部分もあるけれど、そこをあまり考えても仕方がない」と言う。

制度の将来に不安を感じる人は多いが、やはり年金は老後生活の基盤として欠かせない存在のようだ。

「幸い、これからは将来の年金額を知る目安となる『ねんきん定期便』が届くので、将来の年金額を大まかに知ることができます。ぜひ、よくチェックしましょう」と安田さんは助言する

防犯費用や老後のための貯金…独身女性の必要なお金は盛りだくさん

防犯にかかる費用と万一のときのための生活費


シングル女性だからこそ必要とも言えるのが防犯のための費用だ。

女性の1人暮らしでは、空き巣などの犯罪が心配な人が多いだろう。

自治体によっては、自宅に防犯設備を備える費用を助成する制度がある。

例えば東京都港区は、空き巣の被害を未然防止するために玄関に補助錠を付けたりする費用を補助している。

防犯設備を付けたり交換したりする費用が5000円以上かかった場合に、かかった金額の半額を上限1万円まで補助する。

大きな金額ではないが、一部でも自治体が助成してくれればうれしい。

自分が住んでいる自治体にこうした制度がないか調べてみよう。

同区がまとめた防犯設備の費用によると、一般に玄関用の防犯性能が高い鍵は約1万5000円から、補助錠は約4000円から。

窓用の防犯ガラスは1枚約2万5000円からとなっている。

コストをかけてもいいという人は、ホームセキュリティーの導入も1つの手だ。

例えばセントラル警備保障の場合、1LDKのマンションに人の動きや窓の開閉を感知するセンサー2カ所や自動通報の機能を備えたシステムを設置すると、機器を買い取る場合で設置工事費と機器の代金が合計約15万円、サービス利用料が月額3300円かかる。

家計管理では、医療費など万一の費用として、一般に半年分の生活費を用意しておくといいと言われている。

だが「シングル女性の場合は多めに1年分の生活費があった方が安心」と助言するFPも多い。

稼ぎ手が自分1人で、もし働けなくなって収入が途絶えると補製してくれる人がいないためだ。

高齢になった親の介護や日常の防犯など、1人で対策を考えなくてはならないことも多い。

今、何が心配だと感じるか、心配事の対策のためにどれだけ有料サービスを利用するか、一度じっくり考えてみてはどうだろう。

自分の老後の医療費や介護費用は、万一の費用ではなく、老後の生活資金に含めて貯める方がいいだろう。

老後までにいくら貯めればいいの?不安に駆られるシングル女性


30歳までに1000万円貯める。

これが、宮崎県の会社員、河合理生さん(仮名、28)の目標だ。

現在の金融資産は総額約600万円。

8割以上は銀行預金だが、少し日本企業の株も買っている。

会社の財形貯蓄を利用した天引き貯金のほか、毎月、節約して余ったお金を貯蓄に回し、ボーナスもなるべく多く残して貯金。

「結婚するかもしれないけど、一生独身の可能性もある。老後、1人で困らないように暮らせるお金が欲しいですね」と言うが、「困らない額がいくらなのかは、よくわからない」。

河合さんはまだ20代。

なのにもう老後のお金を心配するとは、少し早すぎるようにも思える。

だが、日本経済新聞社がマクロミルの協力で実施したシングル女性調査では、20代でも過半数が「老後の生活で公的年金は頼りにならないと思う」と回答。

8割以上が「暮らしていくお金が足りるかどうか不安」と答え、この先の人生に不安を募らせている。

日本経済新聞社が読者(生活モニター)を対象に実施したアンケート調査でも、「なぜ貯蓄や資産運用をするか?」との質問で、最も多かった回答は「老後の生活費を貯める」。

実に7割の人が選択した。

ところが、河合さんのように実際にお金を一生懸命貯めている人となると、実はそれほど多くない。

40代以下のシングル女性で老後に向けた貯蓄や資産運用に取り組んでいる人は3割を切っているのだ。

20代が保有する預貯金や投資信託などの金融資産の平均は約95万円。

30代では約275万円、40代では約535万円と、年齢を重ねるとともに順調に増えるが、50代でも平均1000万円弱にとどまる

シングル女性が「これだけお金が貯まったら、安心して老後を過ごせる」と思える金額は、日本経済新聞社がマクロミルと協力したシングル女性調査では平均で約1億300万円。

実際の貯蓄額は決して「もう十分貯まったから貯蓄や資産運用をしなくていい」というレベルではない。

実際のところ、老後までにいくらくらい貯められるものなのか。

これを具体的に考えるには、まず、自分はいつまで働き続けるつもりなのかを見極める必要がある。

シングル女性調査で「いつまで働くつもりですか」とたずねると、シングル女性全体ではだいたい58歳まで働こうと考えているようだ。

20代のシングル女性は50歳になる前に仕事を辞めたいと思っているのに対し、40代と50代では63歳前後まで働きたいと考えている。

若いうちは「早めにリタイアしてゆっくり暮らしたい」と夢を持つが、人生経験を重ねるうちに「老後を1人で過ごすとなると、働ける間は働いてお金を貯めないと厳しい。早期リタイアは、夢のまた夢、かも…」と、考えが変わるようだ。

ぎりぎりまで働いてお金を貯めて、リタイア後は貯金を取り崩しつつ年金をもらって暮らすのが、まあ標準的な未来予想図だろう。

シングルだからこそ必要な万一の費用!保険や貯金は絶対!?

万一に備えて保険が必要?シングル女性だからこその悩みも?


「入院しましょう」。

それは突然の宣告だった。

東京都に住む会社員、城山妙子さん(仮名、33)は一瞬、意味がわからずに、ぽかんと口を開けた。

「入院って、あの、いつからですか?」と、たずねる声が裏返る。

院長は、パソコンのモニターに映し出された城山さんのカルテにキーボードで何やら書き込みながら言った。

「今日の夜、ベッド空けておきますから。いったん家に帰って、必要な荷物をまとめて、また来てください」。

入院?今晩から?でも、明日も取引先とアポイントがあるのよ。

仕事の納期は1カ月後なのよ

せめて、明日のアポイントだけでもすませてから…。

城山さんは「あの、明日の夜じゃいけませんか?」と、おそるおそるたずねてみた。

院長は回転椅子を4分の1ほど回して城山さんに向き直った。

「だめです。急性膵炎ですよ。症状がひどければ死ぬ場合だってあります。今晩から入院!」と、断固たる口調で一言う。

疲れと胃もたれが続くので受診を始めたのが1カ月前。

処方された胃薬を飲み続けても症状が改善しないので、尿検査と血液検査と超音波検査を立て続けに受け、結果を聞きに来たのがこの日だった。

ちょうどその日の朝から発熱し、だるい身体を引きずって診察室の椅子に座った。

しかし、まさか即日入院とは。

熱と驚きでふらふらと病院を出た城山さんは、ぼうぜんとタクシーを拾い、夢の中のような気分で自宅の鍵を開け、稼働率が普段の10分のlくらいに低下した脳みそで必死に考えた。

ええと、まず、必要なのは、パジャマに、下着に、カーディガンに、タオルに、歯ブラシ、歯磨き、化粧品と、眼鏡…

あっ、その前に、会社に電話しなきゃ。

いや、それより先に、明日のアポイントをキャンセルしなきゃ。

実家の親に入院を報告することを思いついたのは、入院手続きをすませて病室のベッドに横たわってからだった。

それから1カ月。

初めは24時間、水も飲めずに点滴につながれていた城山さんは、ようやく普通の食事がとれるまでに回復し、めでたく退院の日を迎えた。

食事制限はまだ続くものの、体力が回復すれば仕事にも復帰できる。

パジャマやタオル、入院中に増えた雑誌や本などを詰め込んだ大きなバッグをかかえ、心だけは軽くなって会計窓口に向かった。

だが、そこで渡された請求書を見て、城山さんの頭はまた真白になった。

30万円って。そんなにかかるの?

「あ、クレジットカードも使えますよ」と、会計担当の若い女性が明るい声で言った。

「えっと、じゃあ、ボーナス払いで…」と、城山さんは、財布からクレジットカードを引っ張り出した。

1カ月も休んでしまったけれど、ボーナス、もらえるよね…。一瞬、不安がよぎる。

こんな出費、想定がいもいいところだ。

考えてみれば、今回はまだ不幸中の幸い。

自分自身がまだ若いので、熱があっても入院準備ができたし、親も遠方の実家から見舞いに来てくれた。

これが親の入院や介護だったらどうなるだろう?

私がずっと付き添うには仕事を辞めなくてはならないだろう。

そうすると私は無収入になるの?

それは親も、かえって心配だろう。

私の代わりにだれかに付き添いを頼むのだろうか?

と、すると、やっぱりお金は必要…。

城山さんはタクシーの中で考え込んだ。

シングルって、緊急時にお金がかかるなあ。

そう言えば、シングルの友人が「万一のとき、1人者が頼れるのはお金だけだよ。だから、保険に入らないと!」と、力説していた。

私も何か入っておけば良かったかな…。

シングル女性が一番困るのは、何かあったときに物理的にも金銭的にも頼れる人がいないこと。

万一、自分や実家の親に何かあったとき、自分1人で問題を解決しなければならない。

「だから、シングル女性は保険に入りたがる傾向が強い」と、ファイナンシヤルプランナー(FP)の深田晶恵さんは苦笑いする。

入院したときの費用を補填したいから医療保険、働けなくなって収入が減ったときに家計を補填したいから所得補償保険、介護が必要になったときのために民間介護保険…。

万一の出費に備えるために、さまざまな種類の保険がシングル女性の脳裏をよぎる。

しかし、深田さんは「万一の準備は保険より現金で、というのが基本。保険金が確実にもらえるとは限らないのです。

将来的な支出プランも立てて綿密に金銭管理を

将来の家計収支をざつくりつかむ

では、例えば現在40歳の人が、60歳までに2900万円貯めようとするとどうなるか。

こうしたことを簡単にシミュレーションできるサービスがインターネット上にある。

例えば金融広報中央委員会のサイト「知るぼると」の「資金プランシミュレーション」というコーナーで、初年間で2900万円貯めるには、1カ月にいくら積み立てる必要があるか計算できる。

だいたいの目標額を割り出したところで、次に知りたくなるのは、この先の家計でどんなリスクが待ち構えているのか。

転職するかもしれないし、家を買ったり車を買ったりして貯金が一気に減るかもしれない。

もやもや考えても仕方がないので、これまた目に見える形でリスクをつかむには、将来の家計収支予測を一覧表にしてみることだ。

あくまでもざっくりつかむのがコツ。

必要なデータは、まず年間の収入、そして毎月の大まかな支出。

詳しくわからない人は、とりあえず給与振り込みと生活費の支払いに使っている預金口座の通帳を見てみよう。

エクセルが使える人はエクセルで、使えない人は大きな紙に、一覧表を作る。

一番上は西暦で、今年からスタートする。

次の行には自分の年齢を入れる。

その下には今の年収を入れる。

将来、昇給するかどうかわからないので、働き続ける限り今の年収と同じと想定することにして、全部同じ数字を入れる。

収入の下は支出内訳だ。

「世界遺産を毎年たずねるのが生きがい」「エステにはお金を惜しまない」など、自分にとって欠かせない重要な支出項目があれば、分けて書いておこう。

その下の欄は、収入から支出を引いた年間収支。

一番下の欄が今後の貯蓄残高の推移で、今年の貯蓄残高に来年の年間収支を足すと来年末の貯蓄残高になる。

これで、今の年収と暮らしぶりがこの先も淡々と続いた場合、将来の貯蓄残高が不足しないかどうかがわかる。

綿密なマネープランで人生を楽しく

予測表を作る作業をしているうちに、家計支出をもう少し正確に把握したくなった人もいるのではないだろうか。

そうしたら家計簿に挑戦してみよう。

ただし市販の家計簿は、食費の項目が細かすぎて衣料品や美容関連は欄が狭すぎるなど、シングル女性には使いにくいものも多い。

自由に項目を書き込める家計簿を探すかエクセルなどで簡単に計算表を作ったりして、細かすぎず書き込みやすい自分なりの支出項目を整理してみよう。

貯蓄は天引きで作る
次は、家計を「管理」する段階だ。

毎月、それぞれの項目の予算を決めて、その中でやりくりすることに挑戦しよう。

「入るを図って出るを制す」のが家計管理の基本。

収入の範囲で貯蓄をしながら生活することに慣れよう。

貯蓄のコツは「何と言っても天引き貯金」と八ツ井さん。

余ったお金を貯金するのではなく、収入が入ったらまず決めた金額を貯金する。

会社で財形貯蓄や社内預金といった制度がある人は、活用しよう。

ない人は、積立貯蓄や自動振り替え、投資信託などの積立購入といった手段もある。

こうして、天引き額はないものとして毎月の支出を組み立てる。

そうしないとなかなか貯まらないものだ。

天引き貯金で気がついたら貯まっている…というのが、やはり長続きする貯蓄スタイルだ。

家計管理の目的は、貯蓄を増やすことだ。

であれば支出の記録にキュウキュウとしなくてもいいかもしれない。

八ツ井さんは「支出の記録がどうしても苦手な人は、「貯蓄簿」をつけてみよう」と提案する。

毎月、あるいは3カ月に1回、半年や1年に一度でもいい。

すべての預金通帳や投信などの残高をチェックして、いくらあるかを計算する。

定期的に貯蓄額をチェックすると、どれくらいのベースでお金が貯まっているのかわかる。

ただし、貯まるペースが遅いなら、やはり支出を見直す必要があるということになるので、観念して支出を記録して問題を洗い出そう。

「いきなり支出を記録するのは面倒でも、少なくとも貯蓄簿をつけることで「自分のお金の使い方に問題があるのかないのか」は把握することができると八ツ井さんは話している。

あなたはちゃんと家計管理はしていますか?財布の紐は硬めに

財布の紐がゆるむシングル女性


「ああ、また買っちゃった」。

埼玉県の会社員の女性(39)はため息をついた。

月収12万円の1人暮らしは決して余裕がある生活ではない。

それなのに、ちょっとお金があると、趣味のビーズを買ってしまう。

後で苦しくなって、つい親に頼ってしまうことになるのに…。

自らもシングルであるファイナンシヤルプランナーの八ツ井慶子さん(36)は、「シングル女性は家計管理がおろそかになりがち」と指摘する。

シングル女性を対象にした調査では、シングル女性と既婚女性で家計管理の差は歴然だ。

アラフォー(35~44歳)世代で「家計簿をつけて支出を予算管理している」人が、既婚女性では35%いるのに対し、シングル女性は23%だ。

シングル女性の家計管理がおろそかになりがちなのには理由がある。

子どもがいる既婚女性は、教育費、住宅ローン返済という家計の大イベントを同時に乗り越えていかなければならない。

一方、子どもがいないシングル女性の場合、「働いて一定の収入があれば、家計の大イベントがなく日々が淡々と過ぎていくので、財布の紐はゆるみがちになる」と八ツ井さんは言う。

アンケート調査からシングル女性の家計をのぞいてみよう。

回答人数を考慮した加重平均で毎月の支出の実情を円グラフにしてみた。

まず、最も多いのは家賃や水道光熱費など決まって払う費用(支出全体の25%)で、食費にも24%を割いている。

次に多いのは衣料品・美容関連の支出で14%。

貯蓄に回せるのはl割強のようだ。

わかりやすくするために毎月の支出合計額が10万円という例で考えると、家賃や水道光熱費など決まって払う費用が2万5000円で、食費が2万4000円。

衣料品・美容関連に1万4000円が回り、貯蓄は1万円ちょっとしているということになる。

年齢別に見ると、財布の紐がゆるみやすいのは20~30代。

「欲しいと思ったら必要でなくても買う」人が20~30代では2割前後いる一方、40代以降は1割ほどに滅る。

「買うつもりのものが見つかったら予算枠を超えても買う」という人も20~30代では3割強で、40代以降は2割を切る。

「何に使ったかわからないが、いつの間にかお金が消えていく」という人が、20代では3割弱もおり、30代でも約2割。

一方、40代以降は1割強だ。

リタイア後にお金はいくら必要か


しかし、「暮らしていくお金が足りるかどうか」に不安を感じるシングル女性は8割を超え、決して何の不安もなく優雅な生活を謡歌しているわけではない。

八ツ井さんは「今後10年、20年は淡々と過ごせても、30年、40年先になるとやっていけるかどうかわからないのがシングル女性」と指摘する。

先ほどの調査で「リタイア後の人生を過ごすために必要なお金は総額いくらあれば安心か」とたずねたところ、シングル女性の回答は平均約1億300万円。

40歳前後の世代で既婚女性とシングル女性を比べると、既婚女性は約3900万円で安心なのに対し、シングル女性では約5100万円は欲しいという。

最後は自分だけが頼りのシングル女性は、老後への金銭的な不安は大きいようだ。

かと言って、八ツ井さんは貯蓄至上主義に賛成しない。

「お金を貯め込むのも不幸。1万円なら1万円、使ってそれに見合う付加価値を享受してこそ意味がある。今の自分がハッピーであるように将来の自分がハッピーに暮らすための費用、それが貯金の目的であるべきです」。

目的なき貯蓄はゴールが見えないマラソンと同じで、かなりつらい。

まず、貯蓄のゴールを定めることが第一歩となる。

老後を見据えた貯蓄のゴールは、公的年金をべースに考えるのが基本だ。

年金制度については別に詳しく取り上げるが、現行制度では、60歳までどこかに雇われて働き続けるとすると、65歳から老齢基礎年金が79万2100円(09年の基準額)と、現役時代の給料に応じて額が決まる老齢厚生年金がもらえる。

自分で貯めなくてはならないのは、公的年金では足りない部分だ。

まず、月々の生活費のうち年金でまかなえない部分。

ほかに、急に医療費が必要になったり、旅行に行って老後生活を楽しんだりする特別費用も見込んでおきたい。

あと必要なのは、仕事を辞める60歳から年金支給が始まるまでの5年間の生活費だ。

総務省の家計調査では、09年4~6月期の65歳以上の女性単身世帯の消費支出は1カ月あたり約14万7000円。

ただ、これから物価上昇がないとは言えないし、毎月の生活費は求める生活レベルによってもかなり違う。

そこで、少し余裕を見て、毎月の生活費を、例えばきりがいい数字で20万円とする。

年金額を、男性の平均的な厚生年金より少なめに見積もって、月15万円だと想定する。

そうすると、年金だけでは月5万円が不足する。

年金をもらうまでの5年間の生活費を加えると、60歳から平均寿命の80歳までに年金でまかなえないお金は合計2900万円になる。